海産物の機能性研究で三陸復興を! 記念シンポジウム開催 (2011.11.7)

2013/02/07 22:20 に norio yokota が投稿   [ 2014/09/30 23:42 に ホームページ 00管理用 さんが更新しました ]
岩手医大連携シンポジウムの様子
 2011年11月7日、岩手医科大学様との包括連携協定締結を記念して、三陸沿岸復興を念頭に置いたシンポジウムを開催しました。

 昨今話題となったDHAのように、海産物の新たな機能性成分が明らかとなりつつありますが、このシンポジウムでは、海産物の機能性について国内の著名な研究者から最新の研究内容も交えた講演をいただいたほか、水産加工業者や生協も交えたパネルディスカッションで、こうした研究成果が海産物の新たな需要を喚起し、新産業創出へ繋がることを期待する議論も交わされました。

 参加者は80名ほどで、県内の水産加工業や商社、行政や研究者のほか、健康食品開発企業等も参加いただきました。

 シンポジウム後に催した情報交換会では、水産加工業者から提供いただいた実際の食材も味わいながら、研究成果をベースに生産から加工、販売まで各参加者の力を結集して復興を支援しようと、熱気のこもった議論が広がっていました。







シンポジウムの様子を動画でご覧いただけます。
再生するには画像をクリックしてください。

基調講演
 岩手医科大学 副学長
 祖父江憲治 氏

『魚油(fish oil)による「いわて」活性化』

【要旨】
 魚油は古くより、心筋梗塞・動脈硬化症の予防に効果があることが知られていました。また近年、魚油の主要成分であるDHAがうつ病・アルツハイマー病・脳卒中の動物モデルで有効性の報告が相次いでいます。しかしながら現時点で、魚油の用法と有効性メカニズムは不明でありました。私どもはこれまで、うつ病や不安障害などの感情障害と動脈硬化症の発症メカニズムを研究してきました。この研究の中で、魚油による神経細胞機能の活性化とそのメカニズムの一端を明らかにすることが出来ました。さらに詳細な追究を行なうとともに、魚油代謝産物中の有効成分を検索して創薬に繋げたいと考えています。これらの研究が、三陸漁業の復興・再生さらには「いわて」発の新産業の創生への一助になればと期待しています。

基調講演(54分)


基調講演への質疑(15分)




記念講演1
 北里大学 海洋生命科学部 教授
 森山 俊介 氏

『サケ頭部の未利用資源に含まれる機能性素材と新商品創出に向けて』

【要旨】
 サケ頭部には人の軟骨組織の形成や保湿に必須であるムコ多糖類、脳や神経組織の発育や機能維持に関与する脂質類、また、魚介類の成長や成熟などを促進するタンパク質などの機能性素材を豊富に含んでいるにも関わらず、これらの素材の製造技術や有効性が正確に評価されていないため殆ど廃棄処分されている。ここではサケ頭部の未利用資源から調製した機能性素材を豊かな人間生活や食糧資源として重要な魚介類の増養殖に高度有効活用するための取り組みを紹介する。

記念講演1 23分(冒頭欠損しています)



記念講演2
 東京大学 大学院農学生命科学研究科  教授
 松永 茂樹 氏

『カイメンに含まれる生理活性物質の多様性~化学構造と生理作用の特異さ~』

【要旨】
 演者は海洋生物から有用物質を探している。本講演では、その中から2種類の化合物を紹介する。伊豆に生息するチョコガタイシカイメンに含まれるカリクリンは、プロテインホスファターゼ(タンパク質のリン酸エステルを切断する酵素)を阻害することにより、がん細胞の増殖を抑制する。八丈島産カイメンTheonella swinhoeiにはポリセオナミドという、48残基のアミノ酸からなるペプチドが含まれる。多くのD型アミノ酸や非タンパク構成アミノ酸から構成され、がん細胞に対して低濃度で毒性を示した。構造決定の際に筒状の構造を取ることに気付いたことから毒性発現の機構を解明できた。

記念講演2 22分



記念講演3
 岩手医科大学 内科学講座
 循環器・腎・内分泌内科分野 准教授
 佐藤 衛 氏

『動脈硬化予防の観点から考える脂質異常症の治療:スタチン系薬剤及び魚油(不飽和脂肪酸)の効果について』

【要旨】
 脂質異常症は、血液中のコレステロールや中性脂肪が過剰になる病気で、動脈硬化を進め、やがて心筋梗塞や脳卒中などの重大な心血管疾患を引き起こす原因となる。多くの脂質異常症に対する治療法の中で、スタチン系薬剤および魚油 (不飽和脂肪酸) 摂取による治療は、血液中の脂質プロファイルを改善するだけでなく、動脈硬化の予防効果を発揮することが注目されている。演者らは、スタチン系薬剤や魚油による血管のアンチエイジング効果、いわゆる“血管の若返り”に着目し多くの研究報告を行っている。本講演では、我々の血管アンチエイジングに関する研究と最近のトピックスについて紹介する。
動画 29分

記念講演3 29分



記念講演4
 (財)岩手生物工学研究センター生物資源研究部
 研究員  山田 秀俊 氏

『抗肥満効果を持つ新たな機能性食品素材としてのイサダ利用』


【要旨】
 イサダ(ツノナシオキアミ)は岩手県で年間約2万トン水揚げされるが、そのほとんどは養殖魚や釣りの餌に用いられ、食用としての利用は一部のみである。我々の研究グループでは2009年からイサダの食品利用促進のため、健康機能性研究を行っている。これまでに、イサダの水溶性抽出物に脂肪の蓄積を抑える効果と脂肪の燃焼を促進する効果があり、イサダ水溶性抽出物摂取によって体重増加が抑制されることを明らかとした。イサダ水溶性抽出物は抗肥満効果をもつ食品素材であり、新たな機能性食品の創出が期待される。
動画非公開
基調講演4


 パネルディスカッション

『三陸の水産業復興のために』


パネリスト
  各講演者に加え、
 田代 勝男 氏
  ((株)丸辰カマスイ代表取締役会長)
  森  雄治 氏
  (いわて生協産直事業推進事務局事務局長)
 上田 智広 氏
  (岩手県水産技術センター主査専門研究員)
コーディネーター
 内宮 博文 氏
  (財)岩手生物工学研究センター 所長

パネルディスカッション 48分



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