第205回公開セミナー

2013/12/18 15:52 に 阿部陽 が投稿   [ 2013/12/18 15:52 に更新しました ]
下記により公開セミナーを開催します。

【日時】平成26年1月17日(金)15:00~16:00
【場所】岩手生物工学研究センター(北上市成田22-174-4)

【演題】紡錘体チェックポイントからG1期にスリップした四倍体細胞でおこる新規の細胞死経
    :微小管阻害剤処理による癌の効率的な癌細胞死誘導をめざして
【講師】井上 敏昭 准教授(鳥取大学大学院医学系研究分野)

【内容】
紡錘体チェックポイント(Spindle Assembly Checkpoint、 以下SAC)は、全ての染色体が微小管と正しく結合するまで分配されないようM 期停止させる監視機構である。制癌においてSAC が重要なのは、正常細胞の異数体化防止の場面だけではない。癌細胞を紡錘体を標的とする抗癌剤(微小管阻害剤など)で死滅させる上でも重要である。なぜならその機序は、SAC を発動させ、そこから以下の二つの細胞死を誘導することにあるからである。一つはM 期停止中におこる細胞死(Mitotic Cell Death)である。しかし SAC でのM 期停止は永続的なものではなく、一部の細胞はSAC を終了し、染色体分配せずG1 期へスリップし四倍体化する。ここで、第二の細胞死 Post-Slippage Cell Death、以下PSCD)が誘導される。 この二つの細胞死がSAC を標的とする抗癌剤の感受性を左右する。
 四倍体細胞は中心体数の異常ゆえ染色体不安定性を獲得、悪性化しやすい。SAC を標的とする抗癌剤の負の側面は、二つの細胞死誘導に失敗した時、悪性化の温床である四倍体の癌細胞を生み出す点である。これを優れた抗癌剤とする上で二つの細胞死の理解が必須である。第一のMitotic Cell Death は、機序の解明が進み効果的な誘導法も報告されつつある一方、第二のPSCD は手がかりとなる分子がなく機序は不明であった。
 我々はPSCD に必須の分子として、脱アセチル化酵素SIRT2 を同定した。 HCT116細胞ではSIRT2 欠損によりPSCD 不全に陥るが、この細胞では基底オートファジー(飢餓時ではなく正常状態でおこるオートファジーで蛋白やオルガネラ品質管理に重要)が異常亢進していることを見つけた。
 この二つの現象の関係を検討しており、その結果を今回紹介し、抗癌剤のefficacyを上げる提案をしたい。

参考文献
Inoue T, Nakayama Y, Yamada H, Li YC,Yamaguchi S, Osaki M, Kurimasa A, Hiratsuka M, Katoh M,Oshimura M:
SIRT2 downregulation confers resistance to microtubule inhibitors by prolonging chronic mitotic arrest.
Cell Cycle, 2009, 8:1279-1291.

Inoue T, Hiratsuka M, Osaki M, Yamada H, Kishimoto I, Yamaguchi S, Nakano S, Katoh M, Ito H, Oshimura M.
SIRT2, a tubulin deacetylase, acts to block the entry to chromosome condensation in response to mitotic stress.
Oncogene. 2007 Feb 15;26(7):945-57


【対象】当センター職員、県試験研究機関、農業大学校、独立行政法人試験研究機関、大学などの関係研究機関を想定した内容となっています。

※事前申込みの必要はございません。お気軽にご参加ください。参加費無料。
問い合わせ先: 0197-68-2911 管理部
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