第207回公開セミナー

2014/02/09 21:25 に 阿部陽 が投稿   [ 2014/02/09 21:26 に更新しました ]
下記により公開セミナーを開催します。

【日時】平成26年2月28日(金)14:00~15:15
【場所】岩手生物工学研究センター(北上市成田22-174-4)

【演題】植物免疫応答を視る
【講師】別役 重之  博士(JSTさきがけ/東京大学大学院理学系研究科) 

【内容】
植物は病原体になりうるような微生物の侵入に対して、幾層もの防御系を備えている。そのような植物免疫の誘導機構に関してこれまでにも数多くの研究が行われて来たが、シロイヌナズナやイネなどを中心とした遺伝学的スクリーニングや生化学的解析は多くの知見を与えたものの、その詳細は未だブラックボックスのままの点が多い。その原因の一つとしては、これまでの研究のような組織全体からの抽出物を用いた巨視的な分子生物学的、生化学的実験系では感染組織で局所的に起きる変化を捉えることができていなかった可能性が考えられる。植物の免疫応答は、そもそもは細胞が病原体感染を認識した場所で起きる、時間的・空間的なダイナミクスを内包する事象である。しかし、技術的な困難さもあり、これまでの多くの研究では免疫応答を起こした組織や個体全体を用いての遺伝子発現変動やタンパク質相互作用に関してのみ解析されてきた。しかし、例えば非常に盛んに研究されている過敏感反応(HR)誘導の初期段階を考えた場合でも、Avirulence(Avr)エフェクターを認識したResistance(R)タンパク質による細胞死は少なくとも細胞自律的に誘導されることがプロトプラストを用いて示されているが、一度誘導された細胞死が細胞非自律的に周辺に伝播するような可能性は存在するのであろうか。さらには、非常によく知られているようなPathogenesis-Related(PR)タンパク質の発現などのAvr認識後の防御応答に関しても、そういったイベントがAvr認識細胞で細胞死前に誘導されるのか、それとも異なる細胞で細胞非自律的に誘導されているのかという問いにも、現時点では我々は明快な答えを出せないのではないだろうか。
 そこで、私は植物免疫誘導機構のさらなる理解を進めるために、その時空間的な側面に着目し、局所的な病原体認識がその周辺細胞にどのように細胞死や防御応答を伝播しうるのかを実験的に検証しようと試みている。そのための第一歩として防御応答関連遺伝子プロモーターを用いた植物免疫反応のイメージング系を立ち上げた。まだまだ道半ばではあるが、このイメージング系を用いた研究により示唆に富む知見が得られつつある。本講演では、本研究の最新の知見を紹介することで植物免疫応答に関して多面的な議論をしたい。



【対象】当センター職員、県試験研究機関、農業大学校、独立行政法人試験研究機関、大学などの関係研究機関を想定した内容となっています。

※事前申込みの必要はございません。お気軽にご参加ください。参加費無料。
問い合わせ先: 0197-68-2911 管理部
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