第210回公開セミナー

2014/06/25 21:16 に 阿部陽 が投稿   [ 2014/06/25 21:40 に更新しました ]
下記により公開セミナーを開催します。今回は2名の講師にご講演いただきます。

【日時】平成26年7月1日(火)13:30〜15:30
【場所】(公財)岩手生物工学研究センター大会議室(北上市成田22-174-4)

【演題1】野外環境下におけるトランスクリプトームダイナミクスの解明と予測    

【講師】永野 惇 博士(京都大学生態学研究センター、JST・さきがけ研究者)

【内容】
 温度や光などが刻一刻と複雑に変化する野外環境下で、生物は分子レベルでどのように応答しているのか?これを明らかにするため、圃場のイネ、自生地のハクサンハタザオを材料として、時系列トランスクリプトーム解析と気象データを用いた統計モデリングを行っている。これまでの解析の結果、野外環境下でのイネの葉の発現変動は、大部分が気温と体内時計で説明できることがわかった。また、環境刺激に対する日周性の感度変化(ゲート効果)や、日射に対する応答の閾値と日長測定の精度との関係など、興味深い特徴が明らかになった(Nagano et al., (2012), Cell, 151(6))。また最近、多年草であるハクサンハタザオを用いて、2年間におよぶ毎週のトランスクリプトームデータを得た。遺伝的にも、局所生育環境的にも不均一なサンプルであったにもかかわらず、発現に明瞭な季節性変動を示す遺伝子を多数、見出すことが出来た。


【演題2】トランスクリプトームのパターン認識・ネットワークモデリングを利用した変異体同定・表現型予測   

【講師】佐藤 昌直 博士(自然科学研究機構基礎生物学研究所)

【内容】
 植物の防御応答誘導は様々なシグナル伝達経路が関わり、mRNA発現レベルでも数千遺伝子が発現変動する大規模な生命現象である。この中で100以上の転写因子・キナーゼなどの制御系因子が変動し、これらが植物自然免疫を制御する遺伝子と推定されるが、これまでに遺伝学的スクリーニングで同定されてこなかった。そこで、新規の自然免疫制御因子を同定するためにavrRpt2を持つPseudomonas syringae pv. tomato DC3000感染後のmRNA発現プロファイリングを表現型とした逆遺伝学スクリーニングを行った。このスクリーニングから39遺伝子の変異体が“expression mutant”として同定され、mRNA発現プロファイルは鋭敏に変異体の変化を検出できた。次にエチレン、ジャスモン酸、サリチル酸などの解析が進んでいるシグナル伝達経路(canonical immune signaling sectors)に関わる遺伝子のシグナル伝達ネットワークモデルをリファレンスとし、これら39変異体のmRNA発現プロファイルが持つ情報を特徴認識アルゴリズムRepEdLEGGによって抽出した。これら39遺伝子は少なくとも1つのcanonical immune signaling sectorに関連することが推定された。39遺伝子のうち、15遺伝子を推定されたシグナル伝達への関連性をもとに選抜し、それらの変異体の病原体増殖について解析したところ、7遺伝子(46.7%)について病原体増殖が野生型と比べて変化していた。これは病原体感染時に発現変動する遺伝子の変異体を同様のスクリーニングに供試した場合(9.4%)よりもはるかに高く、この方法が鋭敏かつ詳細に変異体における表現型の変化を推定する情報を抽出していると考えられる。


【対象】当センター職員、県試験研究機関、農業大学校、独立行政法人試験研究機関、大学などの関係研究機関を想定した内容となっています。

※事前申込みの必要はございません。お気軽にご参加ください。参加費無料。
問い合わせ先:0197−68−2911 管理部

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