理事長ご挨拶

新年度のご挨拶

令和

 平素より、(公財)岩手生物工学研究センターの活動にご理解とご協力を賜り、厚くお

礼申し上げます。

 さて、今年の干支は、十干が9番目の「壬(みずのえ)」、十二支が3番目の「寅(とら)」の組合せで、「壬寅(みずのえ・とら)」です。

「壬」は、「妊娠の「妊」に通じ、陽気を下に姙(はら)む」、「寅」は、「螾(ミミズ)に通じ、春の草木が生ずる」という意味があるそうです。そのため、「壬寅」は、「厳しい冬を超えて、芽吹き始め、新しい成長の礎となる」イメージとのことです。

近年、震災や数々の自然災害、新型コロナウイルス感染症など、多くの困難(壁)が目の前に立ちはだかっていますが、一致団結し真の汗を流しながら、牛の如く一歩一歩着実に前に進むことで、必ずや乗り越えていけるものと確信しています。 

公益財団法人岩手生物工学研究センター
理事長
小 岩 一 幸

 さて、「岩手の人 沈深牛の如し」と詠んだ「高村光太郎」は、昭和30年に県教育会館(盛岡市)で開催された「岩手県開拓十周年記念大会」に、以下の詩を寄せています。

赤松のごぼう根がぐらぐらと  まだ動きながらあちこち残つていても、

  見わたすかぎりはこの手がひらいた  十年辛苦の耕地の海だ。

・ ・ ・  (略)  ・ ・ ・ ・

食うものだけは自給したい。  個人でも、国家でも、

      これなくして真の独立はない。

            そういう天地の理に立つのがわれらだ。

  ・ ・ ・  (略)  ・ ・ ・ ・

足のふみしめるのは現在の地盤だ。 静かに、つよく、おめずおくせず、

      この運命をおおらかに記念しよう。

SDGsの2番目の目標である「飢餓をゼロに」の達成に向け活動している国連WFP(World Food Programme)が作成している「ハンガーマップ2020」によると、アフリカ・アジアを中心に、多くの国々が慢性的飢餓の状態にあり、このままの傾向が続けば、2030年までに飢餓人口は8億4千万人に達するとしています。

ご案内の通り、我が国の食料自給率は先進国の中でも低く、多くの食べ物を海外からの輸入に頼っていますが、近年、中国等の新興国が、その経済力を背景に穀物や牛肉等の輸入量を急速に増加させ、我が国は「買い負け」の状態にあります。

更に、度重なる異常気象により、世界的に食料供給が不安定化する中、ウクライナ危機が勃発し、小麦をはじめとする穀物価格、原油価格等が高騰するなど、食料や生産資材調達の不安定化が加速してきています。

こうしたことからも、目の前に大きく立ちはだかる、これらの困難(壁)を鳥の目(俯瞰)で、広く(グローバル)、遠く(過去・現在・未来)まで見通すとともに、社会全体で真剣に考え、問題解決に向けた多方面からの取組に繋げていくことが必要ですし、「食糧安全保障」の観点からは、食料自給率を上げる為の生産面からのアプローチが、何よりも重要であると考えています。

当法人は、「岩手県設置の試験研究機関等のバイオテクノロジー研究を支援・促進するため、バイオテクノロジーに関する基礎的研究を行い、もって岩手県の農林水産業、食品工業等の産業振興に寄与すること」を目的として、平成4年2月に設立され、平成5年4月から研究を開始しました。

 当法人では、これまで、水稲・雑穀におけるゲノム育種法の開発、八重・赤花などリンドウ新品種の開発、病害診断・防除技術の開発、農林水産物の新規機能性の解明と有効成分の活用技術の開発、食用きのこの栽培技術の開発など、現場の声に耳を傾けながら、生産者等のニーズに即した試験研究を進め、公設試、大学、企業等との連携のもと、着実に成果を残してきています。

 今後とも、当法人が有する、非常に優れた資源(人材、最先端の測定機器等)を総動員し、国内はもとより世界にも通用する品種開発、栽培技術開発等を通じ、食料自給率の向上、生産者等の所得向上に寄与して参りたいと考えています。

 県民の皆様と共に、今まで以上に岩手県を盛り上げて参りたいと考えていますので、よろしくお願いいたします。