メタボローム解析を用いたリンドウ研究で学会奨励賞を受賞!

2015年8月28日


園芸資源研究部の高橋秀行 主任研究員が、リンドウの安定生産に向けた基礎的研究の優れた業績を評価され、日本植物細胞分子生物学会から奨励賞を受賞しました。

今回の受賞は、岩手県が生産量日本一を誇る花き品目リンドウにおける最先端の研究が評価されたものです。奨励賞は、将来の発展が期待される若手研究者に授与されるものであり、本県におけるリンドウ研究とリンドウ生産の更なる発展が期待されます。

【受賞の概要】

1 受賞者 高橋 秀行(園芸資源研究部・主任研究員)

2 受賞する賞 日本植物細胞分子生物学会奨励賞

3 受賞タイトル 「リンドウの安定生産に向けてのメタボローム解析技術の活用」

4 受賞日 平成27年8月11日

5 受賞場所 第33回日本植物細胞分子生物学会(東京)大会・シンポジウム(東京大学)

【受賞研究の主要な内容】

リンドウは岩手県が生産量日本一を誇る花き品目です。リンドウは、「越冬芽」と呼ばれる休眠器官を形成し、寒さへの耐性を獲得することで冬を越すことができます。しかし、生産現場では、越冬できずに枯死する「株落ち」が発生するなど、越冬芽の休眠機構の解明と調節技術の開発が待たれています。

高橋主任研究員らは、メタボローム解析という最新の一斉検出法により越冬芽の体内含有成分を解析し、ゲンチオオリゴ糖と呼ばれるオリゴ糖の1種であるゲンチオビオースが、萌芽を誘導する物質であることを発見しました。この発見は、植物の休眠調節機構の一端を世界で初めて解明したものとして、国際植物科学誌の最高峰である「The Plant Cell」(米国)に掲載されました

この他、メタボローム解析を用いて原因不明の病害「リンドウこぶ症」にも取り組み、診断手法を開発するなど、リンドウの安定生産に向けた研究で多くの成果を発表しました。

【今後の展望】

リンドウ生産における越冬率の向上や萌芽の制御による開花時期の調節など新たな栽培技術開発への応用を目指します。また、メタボローム解析は、多様な農林水産物の美味しさや含有成分、さらには栽培生理障害の原因を解明することができる技術であり、県内農林水産業への幅広い応用を進めます。

リンク:日本植物細胞分子生物学会ホームページ