【プレスリリース】

イネがいもち病菌を見つける「目印」の構造を解明

2022年1021


  • 公益財団法人岩手生物工学研究センター・藤﨑恒喜主任研究員、京都大学農学研究科・寺内良平教授らのグループは、英国のJohn Innes CenterおよびThe Sainsbury Laboratoryの研究者と共同で、イネがいもち病菌を外敵として見つけるときに「目印」とするタンパク質複合体の構造を解明しました。国内で広く栽培されている「ひとめぼれ」などのイネ品種は、Piiといういもち病抵抗性タンパク質を持っています。Piiはイネいもち病菌が分泌するAVR-Piiというタンパク質を見つけ出して、いもち病菌の侵入を察知し、その感染を阻止する反応を誘導します。しかし、具体的にイネの細胞内でAVR-Piiタンパク質がどのように認識されるのか、その実態は不明でした。

  • イネいもち病菌がイネに感染する時に分泌するAVR-Piiタンパク質は、イネのタンパク質であるOsExo70F2/F3と結合してイネの細胞が抵抗性を発揮する為の働きを撹乱することにより、感染を手助けしていると考えられています。一方イネは、Piiタンパク質を使って、このOsExo70F2/F3とAVR-Piiとの複合体を認識することにより、いもち病菌の侵入を察知し、その感染を抑制する反応を引き起こします。本研究では、いもち病菌の感染拡大および抵抗性誘導の両方において鍵となるOsExo70F2/AVR-Pii複合体をタンパク質の構造レベルで解明しました。これにより、イネがいもち病菌を外敵として認識する際の分子構造が明らかとなり、より広範で効率的ないもち病菌抵抗性タンパク質を開発・改良する上での重要な基盤情報を得ることができました。

  • 本成果は、2022年10月18日に国際学術誌「Proceedings of the National Academy of Sciences of USA」にオンライン掲載されました。

詳しくは、こちら(PDF:4.2MB)をご覧ください。