2023年7月5日
イネなどの穀物は、自重や暴風などによる倒伏により、収量や品質が大幅に低下 します。この倒伏を低減させるため、これまで、イネの倒伏に関わる特性の研究が盛んに行われてきました。しかしながら、特性の 異なる品種間を比較する方法は、これまで確立されていませんでした。 本研究では、まず背丈など特性の異なるイネ12種について詳細な形態測定や力学測定を行いました。その結果、イネの稈の太さと硬さにはトレードオ フ関係があること、つまり稈が太いタイプと硬いタイプが存在することを発見しました。
秋田県立大学、岩手生物工学研究センター、立命館大学、山梨大学の共同研究グ ループは、材料力学の弾性柱理論を応用し、どのような形あるいは硬さの条件でイ ネが倒伏するかを定量的に明らかにする力学モデルの構築に初めて成功しました。 この力学モデルは、特性の異なるイネを比較できるため、これまで解析できなかっ た品種間の比較も可能になります。
この力学モデルを用いた解析により、穂に最も近い節間の特性が自重で倒れない ために重要であることが明らかになりました。このことから、穂に最も近い節間の 特性を改良することで、イネの倒伏耐性を向上できる可能性が示唆されました。こ の研究成果から、力学理論と育種学の融合により、倒伏耐性が向上した新たなイネ 品種の作出が期待されます 。
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