【プレスリリース】

遺伝子ネットワークを解きほぐすことで、
イネといもち病菌の新しい相互作用を発見

2023年1月23


  • 公益財団法人岩手生物工学研究センター・藤﨑恒喜主任研究員、京都大学農学研究科・寺内良平教授らのグループは、神戶大学、英国のThe Sainsbury Laboratory等の研究者と共同で、植物と病原菌間の遺伝子ネットワークを遺伝学的に「解きほぐす」ことで、いもち病の発生を抑えるイネといもち病菌との相互作用を新たに発見しました。

  • これまでは、強い効果を発揮するなど、「目立つ」遺伝子が優先的に解析され、それに隠れて見つかりづらい他の遺伝子の機能解析は後回しになってきました。そこで本研究では、特定の親から生まれた子供たち1つ1つについて全ゲノム配列を合わせて決定することで、それぞれの子供が両親のどのような特徴を持ち、どのような遺伝子の組み合わせを持つのかを簡単に解析できる材料を確立しました。この材料を使うと、「目立つ」遺伝子を持たず、あまり注目されてこなかった遺伝子だけを持つ子供も迅速に見つけて解析することができます。

  • 本研究では、こうした方法で植物(イネ)と病原菌(いもち病菌)間の相互作用ネットワークを「解きほぐす」ことにより、いもち病に抵抗性を付与するイネのPiksタンパク質といもち病菌のAVR-Mgk1タンパク質間の相互作用を新たに見つけました。AVR-Mgk1遺伝子の発見により、イネのPik抵抗性遺伝子ファミリーが認識するいもち病菌因子の多様性が明らかになり、広範ないもち病菌に有効な抵抗性タンパク質を開発する上での重要な基盤情報が得られました。また、本研究で用いた遺伝子同定の手法は、これからの様々な遺伝子の機能を見つけていく上で、非常に有用な方法であると考えられます。

  • 本成果は、2023年1月19日に国際学術誌「PLOS Biology」にオンライン掲載されました。

詳しくは、こちら(PDF:795KB) をご覧ください。