リンドウの論文がPlant Cell誌に掲載

リンドウ越冬芽の休眠を調整するオリゴ糖ゲンチオビオースの機能に関する論文を発表しました。

岩手県が日本一の生産量を誇るリンドウは、開花後に越冬芽と呼ばれる休眠器官を形成します。

冬になると越冬芽は休眠し、寒さや乾燥に対する耐性を獲得することで冬を越すことができます。

当グループでは生体内の含有成分を一斉検出する解析法(メタボローム解析)を用いた解析を行い、

ゲンチオオリゴ糖と呼ばれる糖の1種であるゲンチオビオースが、越冬芽の休眠状態によって

顕著に変動することを明らかにしました。植物において、オリゴ糖はエネルギー源や細胞構成成分

として利用されるのが一般的ですが、ゲンチオビオースには越冬芽の休眠打破を促す機能があることがわかりました。

また、越冬芽の休眠打破は種子が発芽する際のメカニズムと一部共通することが判明し、ゲンチオビオースは、

このメカニズムを活性化させることでリンドウの休眠打破を促進することも明らかとなりました。

リンドウ栽培において、越冬性は株保ちに直結し、母本の維持においても重要な課題となっています。

さらに休眠メカニズムに関する基礎的知見を明らかにすることで、株落ちしにくいリンドウ(越冬率の向上)や

萌芽の制御による促成栽培、開花制御等への応用が期待できます。

Takahashi, H., Imamura, T., Konno, N., Takeda, T., Fujita, K., Konishi, T., Nishihara, M., Uchimiya, H.

The gentio-oligosaccharide gentiobiose functions in the modulation of bud dormancy in the herbaceous perennial Gentiana.

The Plant Cell (in press)