新規フラボン配糖化酵素の論文

岩手生物工学研究センター育種栽培技術開発チームでは、リンドウが持つフラボンの構造と生合成に関わる配糖化酵素遺伝子について東京農工大学、岩手大学との共同研究で論文を発表しました。

Sasaki, N., Nishizaki, Y., Yamada, E., Tatsuzawa, F., Nakatsuka, T. Takahashi, H., Nishihara, M. Identification of the glucosyltransferase that mediates direct flavone C-glucosylation in Gentiana triflora. FEBS Letters (in press)

フラボノイドの一種であるフラボンは一般にその基本骨格にブドウ糖などの糖が酸素原子を介して結合した形で植物に蓄積しています。

一方、リンドウで蓄積しているC-配糖化フラボンは糖が酸素原子を介さず、炭素同士が結合している化合物で強い抗酸化力や、害虫への食害効果、また、花色の青色化への関与が報告されている化合物です。

このC-配糖化フラボンはイネやコムギ、ソバにおいてフラボンの基本骨格が合成される前の段階で糖修飾を受けて合成されることが示されていました。

しかし、今回、リンドウからフラボンの基本骨格に糖を直接転移する酵素をコードする遺伝子を単離したことから、リンドウではフラボン骨格が合成された後に糖修飾される別経路で生合成されていることを示唆されました。

本経路で合成されるのがリンドウ属植物に限られるのかどうかは植物進化上、興味が持たれるところです。

今後、C-配糖化フラボンのリンドウ内での役割(花色発色への関与、抗菌、抗害虫作用等)についての研究を進めていきます。

https://sites.google.com/a/ibrc.or.jp/ibrcmolbreed/information/xinguifurabonpeitanghuajiaosunolunwen